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研究内容Research


歯・舌両有型咀嚼ロボットシミュレータを用いた食感センシング




 ヒトは,歯と舌を用いて食塊を形成し,その過程において感知する咬合力および舌圧分布に基づいて繊細なテクスチャー(食感)を評価している.一方,機器による人工咀嚼およびテクスチャー評価に関する研究が行われているが,歯または舌のいずれかの機能に限定した手法がほとんどであり,両者は分断されているのが現状である.以上の点を踏まえ,本研究では,テクスチャー評価の自由度および精度の向上を目指し,歯と舌の両機能を有する咀嚼ロボットシミュレータを構築する.人工咀嚼過程の咬合力および舌圧分布をセンシングし,両者を活用した新しいテクスチャー評価手法を提案する.
 ヒトの口腔構造・機能に準拠した人工咀嚼ロボットを構築した.上顎にはABS樹脂製の人工歯とシリコーン製の人工舌を,下顎には樹脂製の歯状ボタン群と圧力分布センサを設置した.今回,6種類の市販ドーナツを試験食品とし,事前に4つのテクスチャー評価項目“サクサク感”,“ホロホロ感”,“ねっとり感”,“口どけ”について官能評価試験を実施した.同種ドーナツについて,咀嚼ロボットによる人工咀嚼試験を行い,この間の咬合力および舌圧分布の時系列データを圧力分布センサにより測定した.ヒトの官能評価値を目的変数,人工咀嚼における咬合力・舌圧分布データの特徴量を説明変数とした重回帰分析により,テクスチャー推定値を算出した. 4テクスチャー評価項目について,官能評価値と推定値の間の平均決定係数は0.62であった.比較として,咬合力データのみ,および,舌圧分布データのみを用いて推定を行った場合,それぞれ0.34,および,0.54であった.したがって,咬合力と舌圧分布の両データを用いた場合の平均決定係数が最も高い値となっており,歯・舌両有型である提案手法の有効性が示された.



MP4 Movie file

Prototype of robotic mastication simulator equipped with teeth and a tongue.
  • 高橋龍馬, 柴田暁秀, 西慶一郎, 長畑雄也, 木村巧, 清水里奈, 堀田真理子, 井上賀美, 東森充: 歯・舌両有型咀嚼ロボットシミュレータを用いたテクスチャーセンシング, 日本食品科学工学会第66回大会, P096, 2019. 第15回若手の会研究発表 最優秀賞.
  • A. Shibata, R. Takahashi, Y. Nagahata, K. Kimura, R. Shimizu, M. Hotta, M. Inoue, and M. Higashimori: Food Texture Estimation by Using a Robotic Mastication Simulator Equipped with Teeth and a Tongue, Sensors and Materials, vol. 31, no. 7, pp. 2367-2380, 2019.