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研究内容Research


ロボット咀嚼シミュレーションの新展開 −食塊形成マニピュレーション−




 ヒトは咀嚼において,歯や舌,頬の複雑な動作を組み合わせ,食品を粉砕し,唾液と混ぜ,ペースト状の食塊を徐徐に形成していく.興味深いことに,ヒトは上記のような複雑な食塊形成技能を,幼少期からの訓練により獲得し(一部,先天的に有し),日常的にほぼ無意識に遂行している.これに対し,食品科学/産業分野において,食感,味,香りなどの客観的・定量的評価のために,機器によるヒトの食塊形成過程の再現が切望されている.しかしながら,従来の模擬的な咀嚼に関する機器やロボットは,食品の単純な圧縮・破断試験に留まるものが一般的であり,ヒトのような食塊形成までをも実現したものは見当たらない.その大きな要因は,ヒトの口腔内構造や咀嚼動作をロボットで再現することの難しさにあると言えよう.
 以上の背景のもと,本研究では,食品評価のための新しいロボット咀嚼シミュレーションの枠組みとして,「ヒトの構造や動作の忠実な再現」を重視するのではなく,「形成されゆく食塊の忠実な再現」を目指した「食塊形成マニピュレーション」を提案する.ヒトの咀嚼を分解・単純化することで,3つの食塊形成プリミティブ [粉砕][混合][まとめ] を定義し,これらを実行可能なロボットを設計・開発する.このようなロボットで食品断片群の [粉砕][混合][まとめ] を繰り返し,ヒトの食塊形成をその過程を含めて再現する.



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  • 鈴木佑晟, 清水大夢, 柴田暁秀, 東森充: 食塊形成マニピュレーション, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門ロボティクス・メカトロニクス講演会2022講演論文集, 2A1-O01, 2022. ベストデモンストレーション表彰.
  • 加藤優侑, 橋本和紀, 堀金智貴, 長畑雄也, 東森充: 力覚と視覚のマルチモーダル深層学習を用いた食品評価に関する研究, 日本食品科学工学会第70回大会, 2C20p02, 2023. 若手の会企業賞.
  • 橋本大輝, 柴田曉秀, 橋本和紀, 堀金智貴, 長畑 雄也, 東森充, 人工咀嚼装置のための包囲領域拡縮メカニズム, 日本機械学会論文集, vol. 90, no. 931, pp. 23-00248, 2024.
  • 特開2023-087750: 咀嚼シミュレータ,咀嚼動作の再現方法, 東森充, 橋本大輝, 柴田曉秀, 鈴木佑晟, 長畑雄也, 堀金智貴, 橋本和紀(公開日:2023年6月26日).